予選Aリーグ |
Aグループの順位は、ウクライナ(2勝1分け)、アルゼンチン(1勝2分け)、イラン(1勝1負1分け)、アイルランド(3敗)であった。特に、初出場のイランが台風の目となり、アルゼンチンに引き分けるなど、好試合を見せた。イランは、最終戦、ウクライナとアルゼンチンの結果次第で、準決勝進出の可能性もあったが、すでに準決勝進出が決定していたウクライナは、主力選手を休ませ、監督もベンチに座ったまま、プレーヤーにゲームを全てまかせるという王者の貫禄であろうか、結果2-2で引分、アルゼンチンの2位通過が決定した。 |
予選Bリーグ |
Bグループの順位は、ブラジル(3勝)、ロシア(2勝1敗)、オランダ(1勝2負)、アメリカ(3敗)であった。このグループで、一番、元気が良かったのはブラジルであろう。最終戦、ブラジルとロシアは、勝点、得失点差、総得点が同じで同位で、勝てば準決勝でアルゼンチンと、負ければ王者ウクライナと対戦という状況の中で、両国どちらも勝ちたいところ。試合は一進一退の好ゲームで、結果、2-1でブラジルが勝利した。 |
7位-8位決定戦 |
アイルランド、アメリカ共にリーグ戦では、勝点を上げることができなかった。アイルランドには、C8選手がおらず、C6選手2人、C7選手10人のチームである。GKにC6選手をおき、他は全てC7選手で2-1-2-1、もしくはDFの1人が上がる、1-2-2-1のシステムを取っている。飛び抜けたプレーヤーはいないが、攻守のバランスが取れたチームである。対し、アメリカは、8チーム中、平均年齢が最も高く、センターバックNo2のC6選手は47歳、右サイドバックNo14のC8選手は39歳、MF・No7のC8選手、右FW・No3のC7選手は、42歳とがんばっている。システム的には、3-1-2だが、センターバックを残し、両サイドバックが時に押し上げるので、1-2-1-2の形になることがある。全体的にアイルランドのペースで、トップのNo9を攻撃の軸にチャンスをつかみ、No3、No6がそれに絡んだ。後半になってからは、アメリカの足が止まり、いっそう、アイルランドのペースへ、4-0という結果となった。アメリカは、昨年のアルゼンチンでの世界選手権で見たチームとは大きく違っていた。守って、カウンターで活路を見出していた世界選手権大会では、世界の強豪と五分五分に渡り合い、アテネへの切符を手に入れた。今回の、アテネパラリンピックでは、人工芝で、カウンターをしかけても、ボールが走り過ぎて、プレーが追いつけないことが多々あった。来年2005年は、ワールドチャンピオンシップがアメリカで開催される。ホスト国として、パラリンピックの経験をどう生かすか期待したい。 |
5位-6位決定戦 |
共に予選リーグ3位同士。イランは、予選で、アルゼンチンと引き分けるなど、何とも未知数な力を持っているチーム。対オランダに、2-2-2で、C6選手を右FWに置き、C8選手を2人、他C7選手のシステムであった。一方、オランダは、C7選手2名(No10、No4)を攻守の要とし、パスワークを中心に、時にNo4が、ロングシュートをする。GKは、C5選手。2-3-1のシステムである。他の試合では、常に中盤にいたNo10だったが、この試合では、イランの攻撃に備えて、右DFに入っていた。前半は、オランダのパスワークのペースになった。右からの攻めが効果的で、何度か決定的な得点のチャンスがあった。しかし、前半の終盤近くに、イランが速攻で1得点。均衡は破られ、徐々にイランのペースになる。後半、オランダは、要のNo10を右MFに入れ、攻撃的システムをとるが、イランの早いプレスで、オランダのパスワークが消えてしまう。その後、今回のゲームで、攻守ともに働いたイランのNo7が、バイタルエリア内で絶妙なパスを受け、決定的なゴールを決める。結果は、3-0でイランの完封であった。 |
セミファイナルT |
ウクライナとロシア、現在の世界CPサッカーランキング1位と2位の事実上の決勝戦と言って良い。レベルが高くゲームに魅入った1時間であった。ウクライナは、2-3-1のシステムで、C6選手のNo9が、左DFを担っている。派手さはないが、確実に、相手の攻撃を止める、または遅らせる実力を持った選手である。対し、ロシアのC6選手は、GKで、ウクライナのC6選手に比べ、フィジカル的に劣り、ロシアの中でのウイークポイントとなり、勝敗の行方が決まってしまったようだった。前半は、ロシアの怒涛の攻撃があり、ウクライナは、フィールド選手全員が体を張り守っていた。前半終了近く、守っていたウクライナが、相手ゴール前にロングキック、ロシアのGKがハンブルしたボールを押し込み、2点を瞬く間にゲットした。後半も、ウクライナが2点を要れ、そのうち1点は、自軸からのゴールキックを、FW・C8選手のNo4が受け、すかさずシュート。ダイレクトプレーを絵に描いたようだった。終ってみれば、ウクライナが全員で守り、ダイレクトプレーで点を重ね、4-1のあぶなげない勝利だった。 |
セミファイナルU |
いろいろな意味で本当にすごい試合だった。Bグループ1位通過のブラジルは、ロシアを僅差で破り、勢いに乗り、C8選手No9を軸に強力な攻撃を誇る。システム的には、右FWにC6選手No11を据え、2-2-2 又 1-3-2、ゲーム展開によって変化させる。GKはC8選手で、今大会、最も安定し、すきの無いGKである。一方、アルゼンチンは、司令塔であるNo10が、イエローカード累積欠場から戻り、ベストメンバーで挑む。システムは、1-3-2で、GKにC5選手。DF1枚のC8選手No3は、背が高く、がっちりした体格で、時に、オーバーラップをし、シュートを放つ。前半は、実力的に上のブラジルがボールを支配し、アルゼンチンゴールを脅かした。アルゼンチンは、No3を中心に全員で守った。ボールを奪っても、すぐにブラジルに取り返される。しかし、集中力のある守りで、無失点で折り返す。後半に入ると、ブラジルのコーナーキック⇒No9のボレーシュートで均衡が破れ、アルゼンチンの集中力が切れ、2分後、再び、No9にゴールを奪われてしまう。後半終了間際、事件は起こった。すでに、ブラジルは4得点し、決勝進出をほぼ手中に収めていた。アルゼンチンNo10がドリブルしていたところへ、ブラジルNo3が接触し、転倒。ファールを取られたブラジルNo3は、抗議、その抗議に詰め寄ったアルゼンチンNo10に対し、冷静さを失ったブラジルNo3は、冷静さを失い、その選手に手を出してしまった。その後は、両国選手総出の大乱闘に・・・結局、ブラジル3選手、アルゼンチン1選手が退場処分となった。熱くなるのは良いが、その気持ちをプレーで見せて欲しかった。 |