The Fairytale of New York / The Pogues




この曲は邦題を“ニューヨークの夢”という。
洋楽タイトルをストレートに邦訳するのはあまり好きではない私も、この曲だけは書かずにいられない。 翻訳した歌詞も下に載せてみた。

“The Fairytale of New York”は The Poguesの3枚目のアルバムに収録されており、アイルランドから移民としてニューヨークへ渡った男と女の回想シーンがそのまま曲になっている。

事実、The Poguesもアイルランド出身。ロンドン育ちのボーカル Shane MacGowanを中心に'82年に結成された。
アイルランド民謡とパンク・ロックを組みわせたスタイルが彼らのカラーで、84年に【Red Roses for Me】 でメジャー・デビュー。続くセカンドアルバムの【Rum Sodomy & the Lash】では、バンドを高く評価していた Elvis Costelloがプロデュースを担当。

この“The Fairytale of New York”を収録した【If I Should Fall From Grace With God】は87年のリリース。このアルバムはU2のプロデュースで有名な Steve Lillywhiteを制作に迎え、全英チャート2位の大ヒットとなった。

The Poguesは90年発表の【Hell's Ditch】を最後にアルコール問題を抱えていた Shane MacGowanがバンドを脱退。残されたメンバーで活動を続けるが95年に解散した。

尚、彼らは解散後もタイムリーに再結成し、イギリスやアイルランドでライブを行っている。
日本でも2005年と6年に来日、ボーカルのShaneを含むほぼフルラインナップで魅せてくれたようだ。



【The Fairytale of New York】
ニューヨークの夢

It was Christmas Eve babe, in the drunk tank
クリスマス・イヴに 酔っ払って牢屋の中さ

An old man said to me, won't see another one
先客のじいさんは俺に言ったんだ「もう新顔は見たくないね」

And then he sang a song "The Rare Old Mountain Dew"
そして歌いだしたのは"The Rare Old Mountain Dew"

I turned my face away And dreamed about you
俺は背を向けて眠った。そしたら君の夢を見たよ

Got on a lucky one, came in eighteen to one
あれは本当にラッキーだった。18倍の馬券が当たったんだからな

I've got a feeling this year's for me and you
なんとなく俺は今年ツいてるかもな

So happy Christmas, I love you baby
ハッピー・クリスマス、君が好きだよ

I can see a better time when all our dreams come true
俺たちの夢が叶うときが近づいてるんだよ



They've got cars big as bars, they've got rivers of gold
バーほどもある大きな車、街を流れる金の川

But the wind goes right through you, it's no place for the old
When you first took my hand on a cold Christmas Eve
でも風で体の心まで冷えちゃうと、年寄りにはこたえるでしょうね
あなたが初めて私の手を握ったあの寒いクリスマス・イヴはいつだったかしら

You promised me Broadway was waiting for me
You were handsome, you were pretty, Queen of New York City
あなたは約束してくれた、ブロードウエイが私を待ってるって
あなたはハンサムだった。君も美人だった、ニューヨークの女王さ

When the band finished playing they howled out for more
バンドが演奏を止めようとしても客は「もっと演れ」と叫んでいた

Sinatra was swinging, all the drunks they were singing
We kissed on a corner then danced through the night
シナトラがスイングし、酔っ払いがみんな歌ってるとき
俺たちは街角でキスをした。そして朝まで夜通し踊ったね

The boys of the NYPD choir were singing "GalwayBay"
And the bells were ringing out for Christmas day
ニューヨークの警察合唱隊は"GalwayBay"を歌っていた
教会はクリスマスの鐘を鳴らし続ける



You're a bum, you're a punk, you're an old slut on junk
Lying there almost dead on a drip in that bed
この浮浪者のロクでなし。おまえだってヤク中の売春婦じゃないか
あのベッドに横になって注射打ってなきゃ 死んじまうんだよ

You scumbag, you maggot, you cheap lousy faggot
Happy Christmas your arse, I pray God it's our last
この汚いウジ虫、ケチなホモ野郎
何がハッピークリスマスなもんか、もう二度とごめんだよ

The boys of the NYPD choir still singing "GalwayBay"
And the bells were ringing out for Christmas day
ニューヨークの警察合唱隊は"GalwayBay"を歌っていた
教会はクリスマスの鐘を鳴らし続ける



I could have been someone, well so could anyone
You took my dreams from me when I first found you
俺には明るい未来があったはずなのに。そんなこと誰だって言えるわ
最初に知り会ったときにあなたは私の夢を持って行っちゃったのよ

I kept them with me babe I put them with my own
Can't make it all alone, I've built my dreams around you
その夢を俺は今でも大事に預かってるよ。自分のと一緒にな
俺は一人では生きられないし、夢だって君がいたから持てたんだ

The boys of the NYPD choir still singing "Galway Bay"
And the bells were ringing out for Christmas day
ニューヨークの警察合唱隊は"GalwayBay"を歌っていた
教会はクリスマスの鐘を鳴らし続ける

訳:Hitoshi Bidai / Bar-Chandler




ちなみにデュオ相手は Steve Lillywhiteの妻であった Kirsty MacColl。

彼女のことに軽く触れると、若干二十歳のとき('79)に英国でデビュー。父が偉大なフォークシンガーという家庭に育つ。

ただデビューからこの“The Fairytale of New York”まで際立ったヒットはなく、彼女をメジャーにしたのは実質上この曲と言えるかもしれない。

Kirstyは2000年12月、休暇中のコスメル海岸で2人の息子たちと海水浴をしているときボートにはねられ死亡。
41歳という若さであった。



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