I'm So Excited / The Pointer Sisters


Pointer Sistersは72年に結成されて以来、休止していた時期もあったが、つい数年前(96年のアトランタ五輪の閉会式で歌を披露)まで活動を続けていた姉妹である。
ビジュアルスタイルはもちろんのこと、時代とともに音楽性まで様々と変えて生き永らえてきた。
時にはカントリーだったり、ジャズ、ロック、ダンスポップ、そしてコンテンポラリーだったりと。

これは当然、その時々のプロデューサーによる戦略にほかならない。が、Pointer Sistersをある一つの音楽に固執させなかった理由に、彼女たちが育った環境がある。

ポインター姉妹はオークランドの牧師の家に生まれた。厳格な家庭に育ち、幼少期はゴスペル以外の曲を歌うことさえ許してもらえなかった。
そういった中、三女のボニーがその壁を打ち破った。四女のジューンを誘って、サンフランシスコのバーやクラブで歌うようになったのだ。
そこに次女のアニタが加わり、当初は三人でのバックコーラスが主な活動だった。
デビューのきっかけは、L・Aのクラブで歌っているところをアトランティック・レコードの副社長の目に留まったことによるもの。
メジャーデビューは72年で、そのときに長女のルースが加わった。
現在はボニーが抜けて、三人で活動をしている。

シンガーというのは大概、子供の頃からいろんな音楽と接し、やがて自分の好みを知り、自分のジャンルを確立する。
ところが彼女たちはその逆で、デビューしてからいろんな音楽と出会い、それらを持ち歌にしてきた。

彼女たちの音楽を問われた場合『ポップス』としか言いようがない。
もちろん、その基本がゴスペルにあるのは紛れもない事実であるが。
いちばんのヒット曲は Bruce Springsteenのカバー『Fire』
ただ、私的にはこの[I'm So Excited]の方が印象に強く、特に間奏のピアノが気に入っている。
まあ、もしこれをジャンル化するとしたら"ファンクジャズ系ダンスポップ"とでも言うのだろうか。82年のアルバム【So Excited】に収められている。

尚、2006年に四女のジューンが癌のため死去。

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