'02.4.9

鈴木さん

引っ越してから、ずっと気になっていたのが、月に一度はかかってくる「鈴木さんですか?」という電話だ。

もちろん、私の名前は鈴木ではないわけだし、うちに鈴木という猫やハムスターもいない。
しかも、かけてくる相手はいつも違う。
番号を訊き返すと、こちらのをすらすらと言える。
かけ間違いとも違うようだ。

そこで私の悪い癖、探偵病が疼いてきた。
このまんまだと、気になってしようがない。

私は先日、いつものように「鈴木さん?」と言ってきた年配の女性に探りを入れてみた。

私「何番におかけですか?」

相手「○○○○の××××でしょ?」

「番号は合ってますけど、うちは鈴木じゃありません」

「じゃあ、もう一つの方に電話すればいいのかしら?」

私は心の中で(そんなこと、オレが知るかよ)と思いながらも「鈴木って、誰です?」と訊き返した。

すると相手「キッチン60の鈴木さんよ。本当に、そこにいないの?」

「ええ、いません」

「店の方でいいのかしらねぇ。ほんとにあんた、鈴木さんじゃない?」

「違います。番号は合ってるけど」

「でも、ここに書いてあるのよねぇ、鈴木って。しかたないわ、もう一つの方にかけてみるね」

「その方がよろしいかと」
私はそう言って電話を切った。

いろいろと繋げ合わせて推理してみる。

おそらく『私の番号は以前、キッチン60のという店の鈴木(たぶん経営者)がサブとして使っていたが、携帯電話の普及から必要がなくなって解約した。何年かして、それを私が引き継いだ』というケースであろう。

でもキッチン60って、どこにあるんだろう・・・
局番からしたら文京区っぽいけど、とっても気になる。

鈴木さ〜ん、どこにいるんだよー!

電話だよ、電話

以上

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