母の日記

油断は禁物

新生児の頃の育児の3大お世話、おっぱい、ねんね、そしておむつ替え。
はるか昔に子育てをおえたばぁばと、母親訓練中の私にとって、この3つの中で一番スリリングなのがおむつ替えだった。
(一番の試練はねんねかなぁ)
入院中は看護婦さんや助産婦さんの助けを借りて1日2回、おむつを替えるだけだったので、もうひとつこつが飲み込めていなかった。
そして、春のように暖かく温度管理されている新生児室と違って、築ン十年を迎える大阪の実家はちょっと気をぬくと隙間風がしのびよる厳しい環境であったのも、おむつ替えを難しくする条件だったといえる。

それは退院した夜のこと。
「テキパキしたらな風邪ひかせるで、テキパキ、テキパキ」
と、口だけ達者なばぁばの役に立ちそうで実は全く具体性を欠く助言を聞き流しおむつ替えにいぞむ母。
「うちの子、女の子やからまだええけど、男の子やったらおしっこ、ピューって飛ぶらしいでぇ。おむつ替えてて顔とかにかかったらかなわんなぁ」
と、相変わらずのん気な母はテキパキにはほど遠いゆったり(ばぁばに言わせれば”のっそり”)した手つきでおむつを開いた。
「うんちだねぇ、Ayaka-man!」
と声をかけ、「さささっ」と口で素早さを表現してのそのそとお尻を拭く母。
「テキパキ、テキパキ」と呪文のように唱えるだけで手伝いする気もないばぁば。
「さささっ」「テキパキッ」「さささっ」「テキパキッ」と合唱してた、まさにその時!

ジョジョジョジョビューーーーーーッ!!

ものすごい勢いでAyaka-manはおしっこを飛ばしてくれた。
女の子だからと油断していた私たちはただ呆然とAyaka-manのおしっこ攻撃に身をまかせるよりなすすべはなく、濡れるがままとなったのだった。
「ひぇぇ、飛んだよ、飛んだよ!そこら辺の男の子にまけてへんなぁ、すっごーい」
おしっこにまみれて何がすごいのか自分でもよくわからないが、何をされても良いようにとるのは親ばかだからでしょうか。
横を見ると、しっかり私でわが身をかばったばぁばは
「テキパキせえへんからや、テキパキ、テキパキ」
とまたもや具体性に欠ける叱責を繰り返した。
Ayaka-manと言えば足をバタバタさせ
「はやくちてでちゅ」
とお怒りモード。
こんなにこんなにつくしてるのになぁ、と、報われぬ想いを抱きながら、新しいおむつをセットする母だった。

おしっこはおむつの中でしてくれよ、Ayaka-man!