母の日記

ばぁばのお手伝い!?

Ayaka-manの初めてのお出かけは「1ヶ月健診」だった。
里帰り出産だったので、この検診はAyaka-manの生まれた大阪の病院で受けることになっていた。
家からタクシーで10分ほどの距離だが、一人で連れて行くには心もとない。
総合病院だから、人も多いので面倒も多そうだなぁ、と思っていたところに、ばぁばが
「任しとき!一緒に行ったるさかいにな!」
と付き添いを買って出てくれた。
任せるほど頼りになるとは到底思えなかったが、よほど心細かったと思う、どうかよろしくお願いとばかりに、ばぁばに付き添いを頼んだのだった。

さて検診当日。
「準備したんかいな。はよ準備せなあかんで。私らようわからんからな」
と、ばぁば。
任しとけと言ってたのにいきなり責任放棄ときたもんだ。
しかし何十年と母娘してるとこれぐらいもう慣れっこだ。
「準備したよ。タクシーも呼んだから、そろそろ出よか」
とAyaka-manを抱っこして玄関に向かった。

家からタクシー乗り場まで5分ほどの道のりだ。
しかしこのたった5分ほどの距離のうちにばぁばの知り合いの人達(つまりおばさん友達)に3人に会い、その度に
「これ、うちの孫やねん。ほれ、この前写真でみせたやん、これ、実物。へへ」
と紹介し始める。
しまった!と思ったのは後の祭り。
ばぁばは何故か異常に顔が広く、それこそ行く人皆知り合いという状態なのだ。
その上どうやらAyaka-manの誕生を写真を手に吹聴しまくってる様子。
この調子では病院に間に合わんと、ぺちゃくちゃし始めようとするばぁばを引っ張り、何とかタクシーに飛び乗った。
すると今度はタクシーの運転手に話し始めた。
「ちょっと見とくんなはれ、これ、うちの孫ですねん」
運転中に見ろって言うのはどうかと思い、たしなめると
「なんやの、ほんまにうるさい子やな、あやか、あんたのお母さん怖いなぁ」
と口を尖らせる。

病院についてもばぁばの狼藉は続いた。
検診に来ている他の赤ちゃんの顔を覗き込んでは、「ぷっ」と噴出し、順番待ちをしている私の横に座って
「あの子、見てみ、変わった顔してたでぇ」
と報告に来る。
耳が遠い人の常で、本人はささやき声のつもりだが向こう10メートルは聞こえそうな勢いのでかい声で、冷や汗ものだった。
やっと順番になり、ほっとするのもつかの間、裸にしたAyaka-man、体重計で得意のおしっこ飛ばしをしでかした。
再び冷や汗たらたら、看護婦さんに謝りなんとか健診を終え待合に戻ると、ばぁばがまた他の赤ちゃんを覗き込んでは「ぷっ」を繰り返してた。

早く帰りたい一心の私はばぁばをひきずり会計に向かった。
お金を払うため、Ayaka-manの抱っこをしぶしぶばぁばにお願いした。
「危ないから絶対、椅子立ったらあかんで。貴重品もちゃんと見ててや」
「へぇへぇ。ほんま口うるさい子やなぁ、あやか、あんたのお母さん怖いなぁ」
と人の話を聞いていない。
諦めてさっさと会計に向かう私の背中越しにばぁばの声が…。
「いやぁ、偶然やん。これ、うちの孫やねん!」
振り返ると貴重品もほったらかし、私の忠告もほったらかしでばぁばが友人とおぼしきおばあちゃんと立ち話を始めてた・・・。

Ayaka-man!なんとかばぁばの面倒みてくれぃ!