母の日記

ばぁば再び!

 ばぁばは世話好きだ。
時には「大きなお世話」って言いたくなるぐらい、世話をやきたがる。
Ayaka-manがやってきた当初、ばぁばは燃えていた。
「なんせ、うちはあんたを育てたんやからな、任しとき」
と過去の栄光(?)を振りかざす。
「任しとき」と言われて任せれたためしが無いばぁばだが、気持ちだけありがたく頂戴しておいた。

退院してから、3日ぐらいたった頃、Ayaka-manの左目の上に湿疹が出来始めた。
湿疹は首やこめかみとあちこちに点在し始めた。
不安になった私は、ばぁばに
「大丈夫かな?この湿疹」
と聞いてみた。
自称頼りになる子育ての大先輩は
「わからん、うち、こんなん知らんわ」とあっさりさじを投げる。
「だって、子育ての先輩ちゃうん?」
と追い討ちをかけると
「知らん知らん。だってあんたは隣組の子や。近所のおばさん連中がよってたかってあんたを育てたもんやからなぁ。うちはようわからんな」
とただのほら吹きばあさんになっている。
「乳幼児湿疹かなぁ、なぁ、ちゃんと顔とか石鹸で洗ってくれてる?」
と確認する。
Ayaka-manの沐浴はばぁばの役目だったのだ。
「えっ、顔みたいなん、石鹸であらうんかいな。知らんかったわ」
とあっさり。
「今までたくさんの子供、お風呂入れてきたけど、顔みたいなん、石鹸で洗ったことないで。それでもこんなんなれへんかった。皮膚弱いねんわ、この子」
とAyaka-manに責任転嫁ときたもんだ。
「それか、あんたのおっぱいがまずいからちゃうかぁ」
と駄目押しもする。
言い訳と鋭い悪態だけはとめどなく口をつくばぁば。
「健診の時に聞いてみるわ。とにかく顔も石鹸で洗ってな」
と頼むと
「あー、うるさい子やな、あやか、ばぁばはこんなにあんたの世話したってるのに、あんたのお母さんに叱られてばっかりや」
と逆ギレする。その日から沐浴時にばぁばは大声で歌うようになった。
「♪あんたのお母さん怖い人ぉ〜。顔も石鹸であらってるぅぅ」

外から帰ってきたら手をあらう、これは、昔からばぁばに言ってるが、実践したためしがない。
しかし、今度ばかりはAyaka-manのことがあるので、重々注意をした。
「病院の先生が言ってた」というと、文句言いのばぁばも素直に聞く。
Ayaka-manを抱っこする前に「手を洗って・・・と」と私に聞こえるように言いながら、台所でさささと手を洗って抱っこしてた。
しかし、冬場に何回も手を洗うのも辛くなってきたに違いない。
ある日、買い物に行ったあと、そのままの足で部屋にやってきた。
「手は洗った?」
と聞くと
「洗った洗った、うるさいなぁ」
と反抗的な態度。洗っていないのだ。ばぁばは自分に非があると反抗的になるタイプなのだ。
「外はね、風邪の菌とかばい菌とかが一杯なんよ。手は洗ってや」
と諭したのが気にいらないばぁば、
「あー、うるさい子やな、あやか、ばぁばはあんたの為に寒い中買い物行ってるのに、またあんたのお母さんに叱られたわ」
と逆ギレだ。
しかも論点がずれている。
その日から帰宅時にばぁばは大声で歌うようになった。
「♪あんたのお母さん怖い人ぉ〜。冷たいお水で手を洗え〜」

どんなにばぁばが大声で訴えようが近所のおばさんたちは私にこういうのだった。
「がんばるねんで、Kitsuちゃん!育児は忍耐やで。」

・・・・・・・・・、これも少し違う気がする母だった。