耳より情報(2016年3月号)
◆視覚障害者の就労支援「isee!(アイシー)運動」
世界で初めてiPS細胞を使った目の網膜細胞移植手術を手がけた理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが、視覚障害者の社会参加を支援する運動を始めました。
名称は「isee!(アイシー)運動」。
企業や社会へ正確な情報を発信し、視覚障害者の雇用機会の拡大と視覚障害者のイメージを一新することを目指しています。
高橋氏が立ち上げた視覚障害者の就労などを支援する神戸市の公益社団法人「NEXT VISION(ネクストビジョン)」が主体となって進めます。
一口に視覚障害者といっても、見え方は人によって大きく違います。インターネットで実際の見え方や生活・就労能力について解説するほか、視覚障害者が社会で活躍する実例の発表の場を設けます。
働くための配慮を企業が理解すれば、雇用が増え、視覚障害による社会的損失も減ると思われます。
来年秋に、神戸市に目の治療や研究、社会復帰支援などを総合的に担う「神戸アイセンター」が設立されます。
ここを拠点として、治療からリハビリ、補助機器の訓練、就労まで一貫してサポートを受けられる環境づくりを目指します。
◆ロービジョンのつどい
「isee!運動」の主体であるネクストビジョン主催による「ロービジョンのつどい」が、先端医療センターで開催されています。参加は無料です。
日時:原則、奇数月の最終火曜日、午後2時〜4時
場所:先端医療センターの臨床棟4階、会議室2
アクセス:ポートライナー「三宮駅」から神戸空港行きに乗車、「先端医療センター前駅」下車、改札口を出て左折、すぐに先端医療センター入り口です。
3月29日は「仕事や家族のことを考える集い」、5月31日は「こころとからだの健康を考える集い」が予定されています。
日時変更もありますので、参加の際は必ずご確認ください。
問い合わせ先:理化学研究所・網膜再生医療研究開発プロジェクトの山田さん(電話078−306−3305、平日の午前9時〜午後5時まで)
◆JRPS京都支部のRP洛楽サロン
日本網膜色素変性症協会(JRPS)京都支部では、網膜色素変性症の仲間の交流サロン「RP洛楽サロン」を開催しています。
今回は、企業シリーズ第2弾として、拡大表示とよみあげに対応した拡大読書器「よみあげ名人」などについてアイネット株式会社の方に説明をしていただきます。
Q&Aや実際の機器のデモンストレーションもあります。
ユーザーの方もこれから使用したいと考えておられる方も、この機会にぜひご参加ください。
参加は無料で、申し込みは不要です。
日時:3月13日(日)午後1時30分〜4時
会場:京都ライトハウス・地下研修室1、2
問い合わせ先:JRPS京都支部の大菅さん(電話090−7348−3414)
◆佐川美術館で「佐藤忠良(さとう ちゅうりょう) 触ることから始めよう」開催中
滋賀県守山市にある佐川美術館の佐藤忠良館では、世界的に高い評価を得ている彫刻家・佐藤忠良氏の創作活動を紹介しています。
約150点の所蔵作品の中からテーマに合わせて彫刻・素描作品40点余りを常時展示し、ブロンズ作品は直接触れて鑑賞できます。
通常、美術館では作品保護の観点から作品に触ることができませんが、彫刻は触覚の芸術であると考えていた佐藤氏が、実際に触れて作品を鑑賞して欲しいと思っていたことから、触って鑑賞できるようになっています。
現在「触れることから始めよう」というテーマで開催されていて、27点の子どもや女性を主題とした作品を触って鑑賞できます。
また、佐藤氏は、絵本「大きなかぶ」の挿絵を描いたことでも知られていて、「かぶ」を抜いている場面をレリーフにした作品もあります。
会期:4月10日(日)まで、午前9時30分〜午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日(ただし3月21日は開館、翌22日は休館)
入館料:一般1000円、高校生・大学生600円、中学生以下無料、障害者手帳提示で本人と付き添い者1名まで無料
アクセス:JR琵琶湖線「守山駅」から近江鉄道バスまたはタクシーで約30分。JR湖西線「堅田駅」から江若交通バスまたはタクシーで約15分。
問い合わせ先:佐川美術館(電話077−585−7800)
◆視覚障害者将棋ファン向け「将棋倶楽部24」アプリ
音声点字情報端末ブレイルセンスシリーズ用アプリ「将棋倶楽部24アクセス」は、日本最大のネット将棋道場「将棋倶楽部24」に、視覚に障害のある人も参加でき、日本や海外の将棋ファンと交流して将棋を楽しむことができるアプリです。
コンピュータ将棋ソフトウェアのシリーズ・柿木将棋形式での入力で棋譜を入力して対局します。
石川准静岡県立大学国際関係学部教授と有限会社エクストラが共同開発しました。開発に際しては公益社団法人日本将棋連盟が開発段階での技術提供や勝又六段によるアドバイスを通じて協力しました。
将棋倶楽部24アクセスにログインするにはアカウントが必要で、あらかじめIEなどの一般のブラウザを用いて登録作業を行う必要があります。
アプリ詳細、対応機種、機能など詳しいことは、専用ページ「将棋倶楽部24アクセス」でご確認ください。
専用ページ http://www.extra.co.jp/sense/shogi24.html
◆「奥秋曜子のフィッシュグリルプレート」
この「フィッシュグリルプレート」は、電子レンジで魚が焼け、ほどよい焦げ目がつく蓋付きのお皿です。外はパリパリ、中身はふっくらと焼き上がります。
本体のプレートと蓋、鍋敷きがセットになっていて、プレートは長さ20センチぐらいまでの魚が載ります。
ブリの切り身なら2枚、小ぶりのアジの開きなら2枚ぐらいが目安です。
焦げ目はお皿に接した面だけにつきます。
本体の色は濃い茶色で、食品とコントラストがはっきりします。
プレートの表面には網目状の凹凸があり、余分な油や水分を逃がす構造になっています。
基本の焼き方は、料理をする前にプレートだけを約5分間電子レンジで加熱しておき、この上に魚をのせて蓋をし、さらに電子レンジで加熱します。
プレートだけを熱したときプレートは約200度近くの熱さになるので、必ずミトンをお使いください。
税込み価格6265円。
31種類のレシピが掲載されたレシピ集と取扱説明書の音声CDが付いていますので、魚のほか鶏肉や豚肉を焼いたり、パエリア、やきそば、フレンチトーストなどにも挑戦してみてください。
問い合わせ先:日本点字図書館わくわく用具ショップ(電話03−3209−0751)
◆触れるだけの視覚障害者用信号スイッチ
ボタンを押さなくても、タッチパネルに触れるだけで歩行者信号が切り替わる視覚障害者専用のスイッチを全国で初めて警視庁が開発し、2月下旬から東京都内に順次設置されています。
東京都盲人福祉協会も開発に協力していて、同協会の担当者は「タッチパネルが大きくて触れやすく、使いやすい」と話しています。
2003年に導入された現行型には、「ボタンを押す力が弱くても確実に作動するようにして」といった要望がありました。
新型の青と黄色の二つのパネルを備えたものは、青いパネルが視覚障害者専用。
白杖を持つ視覚障害者を表現したピクトグラム(絵文字)が記され、上部に点字案内もあります。
青色のタッチパネルに触れると、音声案内などが流れ、黄色のタッチパネルは一般用です。
パネルに触れると「次の青信号までお待ちください」「信号が青になりました」などと日本語と英語の音声が流れる機能が新たに備わりました。
これまで通り、信号が青の間は鳥のさえずりのメロディーが流れます。
新型スイッチは、日本点字図書館前の横断歩道や都立葛飾盲学校前の横断歩道で運用を開始し、今後、都内で約2400カ所ある視覚障害者専用の信号スイッチが順次切り替えられます。
◆科学へジャンプ
2月号のあいさつで報告しましたNPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネットの「科学へジャンプ」は、視覚に障害のある子どもたちに、科学の面白さを知る体験・実習や、IT活用による新しい可能性の広がりを感じ取る機会を提供する活動です。
この活動への寄付についてお問い合わせがありましたので、寄付金の振り込みなどについてお知らせします。
「科学へジャンプ基金」への寄付は、税制優遇措置が得られます。個人の場合、確定申告を行うことで税金が還付されますので、詳しいことはお近くの税務署にお尋ね下さい。
郵便局で口座振込する場合は、応援する活動内容(全体もしくは地域版)を備考欄に記入して下さい。
科学へジャンプ活動全体の場合は、3000円、5000円、10000円、その他のいずれか。地域版は一口2000円です。
郵便局の口座番号は、01750−5−54352、口座名称は「科学へジャンプ基金」です。
クレジットカードによる寄付や毎年継続して寄付する場合は、ホームページ「科学へジャンプ基金」をご覧ください。
http://www.jump2science.org/support_donation.html
また、サイエンス・アクセシビリティ・ネットは、日本点字図書館との協働で、マルチメディアDAISYコンテンツ制作システムを開発しました。
漢字の読みや、抑揚、間合いを調節した聞きやすい音声による「マルチメディアDAISY教科書」を有償ボランティアの協力で製作しています。
弱視や読字障害などの障害がある生徒たちのために、文字表示と音声による読み上げが同時にできるマルチメディアDAISY教科書に大きな期待が寄せられています。
この事業のための支援も募っています。
オンライン寄付サイトから寄付することができ、1000円から受け付けています。「障害者のための読み上げ音声付き教科書製作基金」で検索してください。
https://www.giveone.net/cp/PG/CtrlPage.aspx?ctr=pm&pmk=10308
問い合わせ先:サイエンス・アクセシビリティ・ネット事務局(電話092−821−7344)
今月の耳より情報は以上です。
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