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耳より情報(2016年7月号)  


◆触って鑑賞する企画展

(その1)兵庫県立美術館
神戸市にある兵庫県立美術館で開催中の小企画「美術の中のかたち 手で見る造形 つなぐ×つつむ×つかむ:無視覚流鑑賞の極意」は、音声ガイドを聴きながら彫刻作品に触れて鑑賞します。
音声ガイドは、全盲の文化人類学者として知られる国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎さんが、実際に彫刻作品に触れながら、その印象や触り方のポイントなどを実況中継したものが収録されています。
広瀬さんと一緒に、視覚を使わずにものに「触る」魅力を再発見しましょう!
会期:7月2日(土)〜11月6日(日)の午前10時から午後6時、月曜日休館(但し祝祭日の場合は開館、翌日休館)
会場:兵庫県立美術館・アトリエ2(阪神「岩屋駅」から徒歩約8分、JR「灘駅」から徒歩約10分)
料金:一般510円、65歳以上及び障害者は半額、介護者1名は無料
また、広瀬さんの講演会「人生の触り方―『無視覚流』の極意を求めて」も予定されています。
日時:9月19日(月・祝)午後3時〜4時30分
会場: 兵庫県立美術館・レクチャールーム
料金:無料
定員:100名(申し込み不要)
問い合わせ先:兵庫県立美術館事務局(電話:078−262−0916)

(その2)鞆の津ミュージアム
広島県福山市鞆町にある鞆の津ミュージアムは、築150年の蔵を改修した美術館で、現在、企画展「凸凹の凹凸 さわってみるこの世界」を開催中です。
視覚障害者向け人体解剖模型など触って感じる作品が展示されていて、視覚に頼らない鑑賞体験ができます。
広島県内外の5人が約140点を出品していて、広島中央特別支援学校の寺口さやか教諭は、生徒が触って学ぶための人体解剖模型を作製。
臓器、骨、筋肉などの構造を布やひもで細かく表現されています。
紙に触れて大きさを体感できるよう実寸大で描いたキリンやゾウの絵(高さ約5メートル)も並んでいます。
東京芸術大大学院修了の大崎晴地さんは、縦横各5〜6メートルの大きな布を送風機で膨らませた「エアートンネル」を出品。
子どもたちが中に入って遊ぶことができ、不思議な空間を体全体で感じられます。
他の出品者では、DNAや細胞といった微小世界をブロックで表した作品も入場者の興味を引いています。
会期:8月14日(日)まで、開館時間は午前10時〜午後5時(月曜日・火曜日休館、但し祝祭日は開館)
入場:無料
交通:JR福山駅南口から鞆鉄バス・鞆港行き「鞆の浦」で下車、徒歩5分
問い合わせ先:鞆の津ミュージアム(電話084―970―5380) 


◆きんきビジョンサポート・KVSサロン

7月のサロンのテーマは「漢字」。
見えなくなってくると字を書くことがだんだん減ってくる方が多いと思います。
普段書いていない、最近書いていないという方、思いっきり書いてみませんか。
正しい漢字かどうか確認し、正しい漢字の説明も行います。漢字検定の5級から準1級の問題を用意して、皆様の挑戦をお待ちしています。
会場の関係で定員があるため、参加希望の方はお早めにメールでお申し込み下さい。
メールの件名に「7月KVSサロン参加」、本文に参加者名をお書き下さい。
なお、お断りメールが届かなかった場合は、参加受付完了ですので当日時間までにお越しください。
日時:7月31日(日)午前10時〜12時
場所:大阪駅前第2ビル5階 総合生涯学習センター第7研修室(JR東西線「北新地駅」下車すぐ。待ち合わせを希望される方は、9時45分にJR北新地駅みどりの窓口前に集合)
参加費:500円
持ち物:書きやすいペンなどの筆記具とノート(広告の裏でも構わない方はサロンで準備します)
申し込み先:きんきビジョンサポート(メール info@kvs.cc) 


◆L字サポートケーン長さ調節式フラッシュライト付き

視覚障害者で、麻痺や痛みなどのために杖に体重を掛ける必要がある方におすすめしている「L字サポートケーン長さ調節式」の石突き部分に、衝撃や振動を与えると瞬時に緑色に光るフラッシュライト付きの杖が発売されました。
この杖では前方の路面情報はつかめませんが、視覚障害者であることを周りの人に伝え、かつ夕暮れ時や夜間などに歩行者の存在を周囲に知らせることができます。
杖の先端に円筒型の半透明のカプセルを接合し、そのカプセル内に上下方向の衝撃により発光する発光ダイオードのチップが内蔵されています。
電源スイッチがなく、電池の有無に左右されない半永久的に閃光する杖です。
おしゃれなダービーハンドルという丸みを帯びたL字型の柄です。柄の長さは70センチから90センチの約2センチきざみで、9段階に調節が可能です。
軽金属製で、重さは約290グラム。補装具費支給制度対象品で、価格は6000円(非課税)です。
問い合わせ先:日本点字図書館わくわく用具ショップ(電話03−3209−0751) 


◆新聞代読サービス「声の新聞」無料キャンペーン

目の不自由な人や高齢者のために新聞記事を電話で朗読する「声の新聞」などの活動を行っているNPO法人札幌リーディングサービス「朗読110番」は、今年も7月の1カ月間、サービスの通話料が無料になる「おためしキャンペーン」を行っています。
利用者は、毎日新聞・朝日新聞・北海道新聞の中から社会やスポーツ、連載小説、テレビ欄などを指定し、ボランティアに主な記事の見出しを読み上げてもらい、その中から記事を選び朗読してもらいます。
サービス自体は無料です。通話料は普段利用者が負担していますが、期間中はフリーダイヤルが設置されています。
無料キャンペーン期間:7月1日〜29日の平日のみ、午前11時〜午後4時まで、1回20分程度
受け付け:フリーダイヤル0120ー600ー343 


◆日盲連の「声のひろば」

日本盲人会連合の「声のひろば」は、さまざまな話題を、いろいろな方の「声」を交えて紹介するインターネット版月刊音声雑誌です。
インタビューをはじめ、多くの方々の貴重なお話や情報、生活に役立つもの、趣味やゆとりといった人生を豊かにするものなど盛りだくさんな内容です。
例えば6月号の内容は、「熊本地震における日盲連の取り組み」「竹下会長が語る、体制3期目のビジョン」「講演・障害者総合支援法の改正について」「視覚に障害をお持ちの皆様にも快適な空の旅を」「日盲連用具ステーション」など。
「声のひろば」は日盲連のホームページ http://nichimou.org/ で配信されています。
いつでも、好きなタイトルごとに、また全てを通して聴くことや、過去3か月分のバックナンバーも聴くことができます。
また、デイジーやカセットテープの貸し出しもありますので、日盲連点字図書館(電話03−3200−6160)までお問い合わせ下さい。 


◆JBS日本福祉放送オンデマンド配信

5月28日に開催された大阪市視覚障害者福祉協会主催の第1回ロービジョン講座が、オンデマンド配信されています。
第1部は、講演「福井県視覚障害者支援ネットワーク『羽二重ねっと』について」(60分)、第2部はパネルディスカッション「医療からリハビリへのネットワーク『羽二重ねっと』に学ぶ!」(60分)です。
JBS日本福祉放送ホームページ http://www.jbs.or.jp の「オンデマンド」のページから聴くことができます。 


◆電子図書館システム開発

大日本印刷と図書館流通センター、日本ユニシス、ボイジャーの4社が共同で、視覚障害者の読書を支援する電子図書館システムを開発しました。
利用の際に、音声読み上げとキーボード操作で読みたい本を探して、読んだり聞いたりすることが独力でできる閲覧用のウェブブラウザを搭載しました。
今年4月に「障害者差別解消法」が施行され、全国の公共・大学図書館で情報へのアクセスのしやすさを確保することが求められていて、このシステムによって、視覚障害者が読書を自立的に楽しむことができる環境を提供するとしています。
電子書籍には、文字サイズの変更や音声による自動読み上げなどの機能が充実してきていて、視覚障害者が自立的に出版物を読む(聞く)ことができる電子図書館システムの環境整備に期待が寄せられています。
ボランティアなど人の手による録音図書や点字図書の作成には時間がかかりますが、パソコンやスマートフォン経由で電子図書館システムを活用すれば、視覚障害者も他の利用者と同じタイミングで、自力で本を選んで読むことができます。
現在の電子図書館システムは、健常者には分かりやすい画面構成となっていますが、視覚障害者の多くが利用するパソコンやスマートフォンの画面読み上げソフトに適合していないことが課題となっていました。
今後は、電子図書館サービスの利用者や図書館からの要望を取り入れ、機能を拡充しながら、3年間で200以上の図書館への導入を行うとしています。
4月から兵庫県の三田市立図書館で検証実験を行っていて、今年の夏頃からサービスを開始する予定です。 


今月の耳より情報は以上です。


 

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