耳より情報(2016年8月号)
◆目が見えない・見えにくい私だから考えついた“とっておきのアイディア”募集
現在、世の中にある製品の多くが、障害のない人たちによって考えられ、作られているため、障害のある人たちには使いづらい製品があります。
できあがった製品を改良することは、多くの時間と費用がかかるため、改善されるケースはそれほど多くはありません。
それを解決する方法の一つとして、「目が見えない・見えにくい私だから考えついた“とっておきのアイディア”コンテスト」が、日本点字図書館と共用品推進機構の共催で実施されます。
新たな製品や今ある製品の改良について、障害のある人自らがアイディアを考え、その考え方のポイントを企業の人たちに知ってもらえれば、今後世の中に出てくる製品が、障害のある人たちにも使いやすく変わっていくのではないでしょうか。
こんなものがあれば、今不便なことが便利になる、もっとこんなことができるようになるといったアイディアをご応募ください。
募集アイディア:目が見えない・見えにくい私だからこそ考えついた製品
募集締め切り:9月5日(月)まで
応募の方法など詳しいことは、日本点字図書館にお問い合わせください。
問い合わせ先:とっておきのアイデアコンテスト係(電話03−3209−0241)
◆ミュージアム・アクセス・ビュー第43回鑑賞ツアー
視覚障害のある人とない人がペアになり、作品を介してお互いに会話を楽しむことを目的とした鑑賞ツアーです。
見える人から作品の構図や描写、受けた印象、感じたことなどを伝えてもらい、どんなイメージが浮かんだか、何を感じたかを伝えます。
こうしたやりとりを通して、作品からのメッセージをさぐり、鑑賞を深め、またお互いの見え方や感じ方の違いを発見し共有していきます。
今回の鑑賞ツアーは「あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術展」です。ツアーの前に、展覧会担当者からの解説が予定されています。
日時:8月28日(日)午後1時〜4時30分
会場:京都国立近代美術館
集合場所と時間:京都国立近代美術館講堂に12時50分、または京都市営地下鉄東西線「東山駅」改札口に12時40分
定員:10名(先着順)
参加費:500円
問い合わせ先:ミュージアム・アクセス・ビュー(電話080−5352−7005)
◆山口通著「おもしろ哲学 未華の冒険」
教員歴36年、全国視覚障害教師の会の代表を長く務め、「哲学教育」を研究テーマにする山口通さんが書いた入門書です。
2部構成で、1部は「自然さん、私ってどう生きたらいいの」、2部は「ふしぎな教室 真理ってなに」。哲学や真理といった難解な内容をやさしく説いています。
高校3年生の未華は、視覚障害者の教師の授業で不思議な冒険の旅に出ます。
その旅とは哲学入門の旅。私と人間、人類史、自然史、宇宙史への旅。
未華とクラスの冒険の旅がはじまります。
音声デイジー版は武蔵野中央図書館が所蔵しています。点字データはただ今制作中です。
「おもしろ哲学 未華の冒険」山口通著、本の泉社出版、四六判192ページ、税別1200円。
◆活字文書読上げ装置「アイビジョンスピーチオ」
アイビジョンスピーチオは、拡大読書器を開発・販売しているアイネットワーク社の活字文書読み上げ装置です。
SPコードという二次元コードが印刷されているものを解読して音声で読み上げます。
年金定期便のハガキに印刷されているラージサイズのSPコードも読みます。通常の文書や新聞、本、郵便物などの活字も読み上げます。
SPコードは、読み上げの穴にタッチするだけでコードを解読して読みます。
活字印刷物は、取り込み・自動回転・読み上げ開始が、音声ガイドを聞きながら進められ、簡単な操作で使用できます。
価格は給付限度額と同額の99800円ですので、超過負担はありません。
拡大読書器とは別の給付項目ですので、既に拡大読書器の給付を受け使用中の方も、日常生活用具として給付申請ができます。
但し手帳1級、2級の方に限られます。所得のある方が給付を受ける場合、原則1割負担で自己負担は9980円に、地方税が非課税の方は1割負担が免除されますので無料になります。
製品紹介のCDを無料で送ってもらえますので、購入を検討される方はお問い合わせください。
問い合わせ先:アイネットワークの宮武さん(電話042−583−7450)
◆視覚障害者にも配慮したIHジャー炊飯器「備長炭 炭炊釜」
三菱電機は、弱視などの視覚障害者にも配慮したIHジャー炊飯器「備長炭 炭炊釜」を発売。
スマートフォンで簡単に米の炊き方などを設定でき、炊飯器にかざすとデータを読み取り、スマホが音声で読み上げます。
専用アプリの三菱ジャー炊飯器音声操作「らく楽炊飯」は、三菱電機のホームページかGoogle Playよりダウンロードできます。
アプリを起動し、声で音声入力を行うか、スマートフォンの画面をタッチ。白米や玄米といったお米の種類や炊き上がりのかたさ、時間などが簡単に設定。
10銘柄のお米が登録されていて、銘柄を選ぶとお米の特性を引き出して炊き上がります。
また、スマホが炊き上がりを知らせたり、お気に入りの炊飯モードを写真付きで保存できたりするなど、健常者にも便利です。
市場想定価格は7万200円前後。炊飯器本体に音声読み上げ機能を搭載した上位機種の想定価格は12万9600円前後です。
スマホが本体の代役を果たすことで生産コストを下げ、価格を抑えました。
◆神戸アイライト協会のiPad体験コース
最近、急速に広まっているタブレット型パソコン。携帯性にすぐれていることはもちろんですが、機能を追加することにより、自分の生活に役立つとてもすぐれたツールとして使うことができます。
講習は、音声読み上げ機能を体験するコースと、さまざまなアプリを体験するコースの2つのコースがあります。
「iPadに触れるのは初めて」という方、一度体験してみませんか?
講習日程:どちらのコースも全2回、午後1時〜4時まで
「音声機能を体験してみよう」は9月24日と10月1日、「音声機能でアプリを活用しよう」は12月10日と17日(いずれも土曜日)
会場:中山記念会館2階多目的室(阪急「春日野道駅」から徒歩約10分)
参加費:無料
定員:各コース5名
受講資格:視覚に障害があり、兵庫県在住で初受講の方を優先。兵庫県在勤・在学の方はご相談ください。
問い合わせ・申し込み先:神戸アイライト協会(電話078−252−1912)
◆全日空でドリンクメニューの点字版・拡大文字版設置 ◆第80回社会保障審議会障害者部会の報告より 今月の耳より情報は以上です。
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全日空では視覚障害者や弱視のお客様に配慮した機内のサービスの充実を図っています。
視覚障害のあるお客様に対する機内での必要なサポートや声かけについては、基本的には客室乗務員が行っています。
食事に関しても客室乗務員の案内によりお客様の希望を確認していますが、ドリンクメニューに関しては種類が豊富にあり、すべてを読み上げることは困難です。
そこで、お客様自身がゆっくりとドリンクを選択できるように、日本語・英語の2か国語の点字版メニューの設置を6月から開始しました。
また、拡大文字版も併せて設置しています。
国内線全機のプレミアムクラス、国際線全機のファースト・ビジネス・エコノミーの全クラスに1部ずつ搭載しています。
6月30日に第80回社会保障審議会(障害者部会)が開催され、厚生労働省の事務局から、先の国会で改正障害者総合支援法及び改正児童福祉法が成立したことについての報告と、今後の施行までの流れについて説明がありました。
また、6月28日付で次の3つの課長通知が発出されたことが報告されました。
(1)入院中の医療機関からの外出・外泊時における同行援護等の取扱いについて
(2)意思疎通を図ることに支障がある障害者等の入院中における意思疎通支援事業(地域生活支援事業)の取扱いについて
(3)特別なコミュニケーション支援が必要な障害者の入院における支援について
これにより、(1)では、入院中の医療機関からの外出・外泊時に同行援護が利用出来るようになりました。
(2)では、入院中に代読・代筆、音訳・点訳などコミュニケーション支援が必要な場合、意思疎通支援事業(地域生活支援事業)の利用が可能となりました。
(3)では、(2)の内容(コミュニケーション支援者による入院中の支援を受け入れること)を医療機関宛に通知しました。
竹下義樹会長は、今回の通知で意思疎通支援が入院中も使えるということが徹底されたことを高く評価。
重度訪問介護サービスについては、支援者の訪問先を入院中の医療機関にも拡大する変更が行われたことを評価しつつも、現時点では対象者が障害支援区分6の最重度の人に限定されており、入院時のヘルパー利用の解禁までには至らなかった点は今後の課題として、視覚障害者が入院する場合、コミュニケーション支援のレベルで事足りるのか、もっと別の支援が必要になってくるのかを見極めていく必要があると述べています。