「トップに戻る」「前の月号へ

耳より情報(2016年12月号)  


◆駅ホーム安全対策計画

阪急電鉄は、転落を防ぐホームドアを大阪の十三駅に10億円かけて2020年頃に設置する計画で、十三駅の状況をみながら他の駅にも増やしていく予定です。
関西の大手私鉄としては初めてです。阪神電鉄も2022年までに梅田駅に設置する予定です。
阪急や阪神が導入すれば、他社も検討を急ぐとみられています。
JR西日本は、高槻駅と京橋駅の一部の乗り場で設置している昇降式のホーム柵を京都駅と三ノ宮駅にも設置する計画ですが、工事の時期は未定です。大阪駅も来春には一部ホームで整備される予定です。
また、近鉄は1日の利用者が1万人以上10万人未満の全駅で、線状の突起が付いた「内方線付き点状ブロック」を当初計画の2020年度から前倒しして、2017年度末までに整備する方針です。
国土交通省は利用者1万人以上の駅で内方線付き点状ブロックを、10万人以上の駅ではホームドアまたは内方線付き点状ブロックを速やかに整備するよう鉄道各社に要請しています。
また、国土交通省は全国の鉄道会社に対し、駅員が改札やホームで視覚障害者を見かけた場合、原則として声をかけて介助を申し出るよう徹底を図ることで、ソフト面での安全対策を進めます。
これまでは統一の指針はなく、各社の裁量に任され、現場の判断に委ねられていました。
視覚障害者が希望すれば、駅員が寄り添ってホームの乗り場まで案内し、乗車行為もサポートするよう、各社の規則に明記してもらう考えです。 


◆マイナンバーカードの点字申請、署名に許可

マイナンバー制度の個人番号カード発行に際し、申請書の署名に点字の使用が認められることになりました。
総務省が11月1日付で全国の自治体に通知しました。
申請はマイナンバーの「通知カード」とともに届く通常の申請書に、点字器を使って署名。署名欄でなくても、申請書のどこかに署名していれば受け付けられます。
総務省は、点字の説明も添えた専用の申請書を作成することも検討しているそうです。
行政手続きの中で点字による申請を自治体が独自の判断で認めてきたケースはありますが、制度化は初めてです。 


◆群馬県立自然史博物館の視覚障害者向け解説ツアー

群馬県富岡市にある群馬県立自然史博物館は、目の不自由な来館者が展示物に触れて感じられるよう、視覚障害者に向けた館内の解説ツアー「本物に触れる」を開催しています。
解説ツアーのコースは、恐竜の化石などに触れる「恐竜コース」、動物の剥製に触れて鳴き声も聞く「ぐんまの自然コース」、館内全コーナーのポイントを回る「博物館探検コース」の3コースから選べ、職員が約1時間かけて案内します。
また、介助者用に視覚障害者の見学ポイントを示したパンフレットも用意されています。
この博物館は以前から、大半が実物の化石や剥製などに触れる展示30点、鳥や虫などの鳴き声を聞く展示12点、動物の臭いを嗅ぐ展示1点の計43点があり、子どもたちを中心に人気を集めていました。
これまでは視覚障害者が来館した場合、要望があれば、職員が展示品の名称などの点字板が付いたこの43点の中から部分的に随時案内してきました。
昨年度、全国科学博物館振興財団から助成金を受け、職員が県立盲学校を訪問したり県内の障害者団体からの協力を得たりして、1年かけて解説ツアーのプログラムを練り上げました。
1回の定員は視覚障害者4人(介助者は除く)で、事前に電話予約が必要。定員を超える団体の場合は、日程の調整に時間がかかることもあります。
休館日は原則月曜日で、障害者手帳を持つ本人と介助者1人まで入館無料、解説ツアー料金も必要ありません。
また、貼り付いた砂や土に触れる地層の模型や、磁石に付く鉄成分を含む隕石など、常設展示していない視覚障害者向けの展示品も約100点あり、事前予約した団体には一室を用意して並べたり、外部に貸し出しもしています。
問い合わせ先:群馬県立自然史博物館(電話0274ー60ー1200) 


◆リーディングルーペ

視野狭窄など視覚障害のある人の読書をサポートする道具の一つ「リーディングルーペ」は、断面が半円の棒状のレンズで、ページの上に置くだけで文字を2倍に拡大して見ることができます。
底面に、幅4ミリのカラーラインがあり、一行ずつ楽に読み取れます。
カラーラインは、イエローとライトグリーンの2種類があります。
ルーペの長さは、B5サイズに合わせた15センチとA4サイズに合わせた21センチの2種類で、幅はどちらも2.5センチ、厚みは1センチです。
長さ21センチの税込価格は1512円、15センチは1080円です。
また、ルーペ機能のない定規のような薄さの「リーディングトラッカー」は、中央のカラーラインが8色あり、長さ18.4センチで、税込価格216円です。
インターネットによる通販や大手書店、文具店などで購入できます。
問い合わせ先:キハラ株式会社(電話03−3292−3301) 


◆触察本「手で見る地震と津波」

地震や津波が起こるメカニズムを点字付きの文章と、触って分かるイラストで解説した「手で見る地震と津波」が出版され、全国の盲学校に無償で配布されました。
視覚障害者が彫刻に触って鑑賞できる私設美術館「ギャラリーTOM」(東京都渋谷区)に事務局を置くNPO「視覚障害者芸術活動推進委員会」が作製しました。
2012年に出した「手で見る北斎 神奈川沖浪裏」に続く2冊目の触察本です。
子ども向けの易しい文章ですが、関心が高いテーマだけに幅広い世代に注目されそうです。
この本では、地震をもたらす岩盤(プレート)や断層の動きを取り上げています。日本列島の周りには「太平洋」「フィリピン海」「北米」「ユーラシア大陸」の四つのプレートが位置することを説明。
海底の岩盤同士の動きが地震を生み出し、海面の変化が津波につながる仕組みを触図を使って解説しています。
音声ガイドCDが付いて1冊4500円(非課税)です。
問い合わせ先:視覚障害者芸術活動推進委員会(電話03−3467−8102) 


◆絵本「けんちゃんの色 見えてる色は、それぞれ違う?」

色のバリアフリーを目指すNPO法人「トゥルーカラーズ」が、ドコモ市民活動団体助成事業からの助成金により、子どもの色覚異常について分かる絵本「けんちゃんの色」を作製しました。
赤と緑、ピンクと水色など人によって見分けにくい色があることや、色の見え方を個性として受け入れる大切さを訴える内容となっています。
色覚異常は日本人男性の5%、女性の0.2%の割合でいるとされ、見え方は人によって異なります。
絵本は、5歳の「けんちゃん」が、間違えて色分けしていた姉のタオルを使ってしまう場面などを通じて、見分けるのが難しい色や、色を区別する工夫を子ども自身が分かるように伝えています。
ホームページ(http://www.truecolors.jp/)で閲覧できます。
また、希望者にはB5判、全24ページの冊子を配布しています。
問い合わせ先:トゥルーカラーズ(電話06−4708−5833) 


◆にってんセレクトパック(2016年12月版)

日本点字図書館の図書情報課では、デイジー図書ダウンロードサービスの一環として、12月1日から1月31日までの期間限定で、様々な図書を収録した「にってんセレクトパックサービス第11弾」を行なっています。
サービスの利用は無料ですが、SDカードまたはCFカードの用意と、ダウンロードサービスの利用申し込みが必要となります。
日点の図書情報課に利用の申し込みをし、未使用のSDまたはCFカードを送ります。
セレクトパックは5種類あります。
「サピエベストリーダーセレクト」は、サピエ図書館にて配信されているデイジーデータのうち、人気のあった図書の文学・教養をとりまぜたもの。
「バック トゥー ザ 2016セレクト」は、2016年を振り返って1年間に起こった出来事に沿った図書を集めたもの。
「スタッフ推薦!福袋セレクト」は、図書情報課のスタッフ全員から「私のおすすめの1冊」として挙げた図書を集めたもの。
「お侍さん大行進!セレクト」は、2017年NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」の舞台である静岡県にちなみ、中部地方をメインにさまざまな時代小説など。
「暖々BOXセレクト」は、寒い冬に心あたたまる小説を集めたものです。
詳しい内容は、「にってんデイジーマガジン12月号」に掲載されています。
問い合わせ先:日本点字図書館図書情報課(電話03−3209−2442) 


◆「うたぼん 懐かしの洋楽ヒッツ編」

京都ライトハウス情報製作センター製作の英語点字のうたぼんです。
おおよそ1980年代までにリリースされた歌いやすい洋楽ナンバー、「Take Me Home, Country Roads(カントリーロード)」「Yesterday(イエスタデー)」「Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」などが集められています。
全1巻、1800円で、原本価格は360円です。価格差補償制度をぜひご利用ください。
問い合わせ先:京都ライトハウス情報製作センター(電話075−462−4446) 


今月の耳より情報は以上です。


 

  トップに戻る