横浜高島屋で「今泉今右衛門(14代)展」が開催されているので見てきました。実は先代(13代)今泉今右衛門さん(人間国宝)とは私が会社勤めのころ、情報誌の記事に今右衛門さんに登場していただくことになり、その打ち合わせのために有田の郊外の川魚料理屋で食事しながら陶芸の話しを伺った懐かしい記憶があります。当時の情報誌を開くと1992年のことでした。そのときには、13代今右衛門さんは先代(12代)から伝統ある色鍋島の仕事を受け継ぎ、更にこれに“吹墨”“薄墨”という技法を取り入れ、独自の世界を確立した経緯や作陶の心構えなどを熱心に語られていました。穏やかな雰囲気の素晴らしいお人柄の方でした。
“作るということは、一つのイメージを常にもっているわけです。きれいな、すっきりとした形に絵をいっぱい描いても、それがうるさくないような文様でないといけないと思います。どんなに手間をかけても、すっきりと見せなければいけないというのが、私の一つの考えです。そういう世界になりますと、やはり品格とでもいうもの、つまりその作品を見て、何かすっとその中に吸い込まれていくような美しさがないと本物ではないということを、私は最近しきりに言っているのです。ところがなかなかそのような作品は出来ないのです。最後は自分自身の人間性の問題かなと思うのです。私自身がそれだけ高い品格を備えた人間にならないと、これは無理ではないか。ということは、人間一生かかってもそのような作品は出来ないのではないかというところまでいくのです。”
残念ながら13代今右衛門さんは、2001年(平成13年)10月に亡くなられました。そしてご子息が翌年2月に14代今右衛門を襲名されています。
そんなわけで14代の作品がどう変化しているか?
楽しみにして会場を覗いてみました。会場に入ってまず私が感じたのは先代の作品にはなかった絵柄・朝顔紋の香炉でした。爽やかな涼しい雰囲気で会場に据わっていました。また、雪花紋やプラチナ彩という新しい意匠・技法も採り入れられて、14代の独自の意欲と創造性を感じました。これからも14代の作品を楽しみにしてゆきたいと思いました。(2011.3.26)
所用で大阪に出かけ自由な時間が出来たので大阪市立東洋陶磁美術館を訪問しました。この美術館は世界的に有名な「安宅コレクション」を住友グループから寄贈されたことを記念して、1982年(昭和57年)に大阪市が設立開館したものです。場所は大阪の中心部、淀屋橋から歩いてすぐ土佐堀川沿いの緑と水の広場、中之島公園内にあります。中之島公会堂や中之島図書館などの風格ある建物が近くにあります。東洋陶磁専門の美術館としては、世界第一級の質と量を誇るかなりマニアックな美術館です。
ロクロが確かである・・・
描かれた一本一本の線が生きている・・・
釉のかけ方に勢いがある・・・
全体の形に大らかさがある・・・
そして、他人が創った優れた作品を見て感心ばかりしておられないな・・・と反省し創作意欲を掻き立てられます。(2011.3.25)
東北関東太平洋沖大地震(3月11日)から2日目、朝パソコンを開くと中国名のメールが入っていました。昨年の景徳鎮旅行で通訳兼ガイドをしてくれた張慧さんからのメールです。日本の大地震を知って心配してくれたのです。私の家も家族も幸い被害はありませんでしたが、被害にあわれた方々に元気になっていただきたいと思い、ここで全文を原文のまま紹介しておきます。
中国では2008年に四川大地震が発生したりして国民の地震に対する意識も高いのでしょうが、日本国内だけでなく、世界中で多くの人たちが心配してくれ、勇気付けてくれる証のメールです。うれしくなりました。
大貫様
こんばんは。私は、景徳鎮の張慧ですが。
お久しぶりです。お元気でいらっしゃいますでしょうか。
昨日から、ニュースから日本の大地震のことを聞いて、私、残念な気持ちでいっぱいになっています。
そして、大貫さんとご家族の方々がご無事でいらっしゃったのだろうと思いまして、メールを送りました。ご家族や日本の皆様の平安をお祈りますように、お願いします。
ご無事の返事をお待ちしております。
張慧
張さんは景徳鎮陶瓷学院で日本語の先生をしています。北京に住んでいる私の友人、何泰山さんの紹介で、私の景徳鎮旅行で通訳を引き受けてくれました。
本当に丁寧で、親切で、勉強家で、私の景徳鎮旅行に備えていろいろと事前勉強をしておいてくれました。
張さんのお陰で本当に楽しい旅行ができ、私は中国との民間親善外交ができたものと思っています。これから景徳鎮の旅行をしたい、という方がおられたら、張慧さんを紹介しますので是非ご一報ください。(2011.3.13)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)