虎ノ門の菊池寛実記念 智美術館で開催されている「現代の名碗」展を観てきました。智美術館はこれまでも気になっている美術館だったのですが、友達に誘われて初めての訪問です。
川喜田半泥子、荒川豊蔵、中里無庵、金重陶陽、加藤唐九郎、三輪壽雪、岡部嶺男、等々そうそうたる陶芸家の茶碗が展示されていました。
美術館の展示品は触ることができませんが、本当の茶碗の評価は掌(たなごころ)の上に乗せて、見て、眺めて、雰囲気を味わって、創られ方や焼き方を想像する。そして高台部分の削り方や土味などを見て、できれば一服茶を点てて頂かないと分からないのではと思います。
どれを見ても“やきもの”としては素晴らしいものばかりなのですが、中には見せたい、目立ちたい、という意識(個性)が強く感じられる茶碗もあって、茶碗としてはどうか?と思うような納得のいかないものもあります。
一方、“やきもの”としては目立たない、むしろ控え目だが、お茶を気持ちよく味わえそうだ、という茶碗もあります。
用の美(使って美しいか・楽しく自然な姿でお茶をいただけるか)を思うとわからなくなってしまう茶碗も結構あります。
河村又次郎さん(北鎌倉の魯山人窯を継いでいる河村喜史さんのお父さん・故人)の文を読むと「形で見せようという意図的なものが出てくると、作った人間の卑しさが出て、お茶が飲めなくなります。ただただ素直に作るよりないものです。掌に入れたとき、茶碗があぐらをかいて威張ってもの言っているような茶碗では、口にあてる気がしない。」というくだりがあります。何となく同感です。
作者は茶碗として作らなかったが、結果として珍重されている茶碗もあります。井戸茶碗などは典型的な例です。泥まみれになってこつこつと轆轤を回していた朝鮮陶工の日用雑器が、ある日突然茶人(あるいは茶を商売にしている人)の目に留まり高値で取引されるようになる・・・。
人それぞれ考え方も評価基準も違うわけですから、好き嫌いがあってもやむをえないわけですが、結局茶碗は難しい。しかし茶碗は確かに面白い。
それにしても現代の茶碗を見たら千利休は何と言うのだろうか?(2013.11.18)
高倉陶房の仲間、高柳宏幸さんが世界一周の船旅から帰ってきました。
今夏、7月18日に横浜港を出港して10月10日に帰港、85日間の船旅です。三か月ぶりに陶房に来訪、楽しい土産話しをいっぱい聞きました。
まずは、帰国して高柳さんからいただいたメールの一節を紹介します。
“先日無事帰国しました。順調な航海と天候に恵まれ(雨は無し)良い船旅ができました。初めての経験でしたが特に印象に残るところは下記でした。
1.スペイン、バルセロナのサグラダ・ファミリア
2.イタリヤ、ローマ、コロッセオ闘技場、バチカン市国、トレビの泉
3.ギリシャ、アクロポリスの丘、パルテノン神殿
4.トルコ、エフェンス遺跡
5.モロッコ、ハッサン2世モスク
6.パナマ運河、スエズ運河
7.360度の水平線とそこから上る日の出、日の入り
8.ソマリア沖で日本の自衛隊の巡洋艦2隻が護衛されたこと(海賊対策)
その他いろいろありましたが、世界遺産と遺跡、聖堂教会が多かったです。
期待していたエジプトのピラミットはデモの関係で寄港できませんでした。
高柳さんが旅したOCEAN DREAM号→
三ヶ月は長く感じましたが船上ではいろいろとやることがあり楽しく活動をしていました。
日本に戻りましたが、治安、貧困、料理、気候、衛生面、トイレ、どれをとっても日本の良さを改めて感じました。生活面ではジャパン イズ ナンバーワンと思いました。”
記念の写真を見せていただきましたが、どこの国でも天気に恵まれたということで快晴の空の下の写真ばかりでした。インド洋で海が荒れたという以外は快適な船旅だったとのこと。
世界各国の美しい風景・風物・人々を心に刻んできた高柳さん、多くの“作陶のヒント”をこれからの作品創りに反映されることと期待しています。(2013.11.1)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)