今年のお盆は所用があって福井の芦原温泉に家族で出かけました。近くの片山津温泉には若いときに、山中温泉には2年前に泊まったことがあるのですが、芦原は初めてなので楽しみに出かけました。
あいにくと北陸地方に大雨が降って(京都丹波や福知山地方では大きな水被害も出たようです)観光はできなかったのですが、幸い最後の日に雨が上がり薄日も射してきたので、近くにある「金津創作の森」を訪ねてきました。芦原温泉から車で約30分、北陸自動車道金津インターから15分足らず、便利な場所に広大な敷地をつかって創作の森がありました。
レストラン・カフェテラスで窓の外の森を眺めながらひと休み。ギャラリーでは企画展が開催されていました。
広い創作工房ではちょうど陶芸教室が開催されていました。夏休み中の子供たちや親子連れが多い。
ガラス工房では既に硝子溶解炉に火が入って音を立てて燃えている。炉から引き出された長い棒の先に解けた硝子が付いている。雨上がりで湿度が高い上に熱気がすごい。孫の手を引きながら汗だくだくで見学。
創作工房の全景→
境内には個人アーティストたちの陶房やアトリエなどが点在している。既に陶芸家・ガラス作家・染画家・竹細工師・作曲家などのアーティストが工房を構えているとのこと。
この豊かな自然環境の中に移り住んで工房を作り、自分の好きな制作活動に専念できたら素晴らしいことだと思う。入居作家の募集要項によれば、この森に住める資格は“原則55歳までであわら市民になれる方”とのこと。(私はだめか!)
当たり前のことですが・・・創作活動と言うのは物や音を創り出すこと。趣味や道楽であれば創り出されたものは自分や家族・友人たちと楽しんでいればよいのですが、生業(なりわい)となると流通ルート(お金を払って買ってくれる人)を作らなければならない。素晴らしい自然環境にあるこのような立派な施設が更に賑わって、住む人も訪ねる人も楽しめるようになればいいと思う。(2014.8.24)
高倉陶房の作業場の窓を開けると隣地は栗林と畑で、永年にわたって四季折々の風情を楽しんできました。轆轤や成形作業に集中したあと、窓を開け外の空気を入れて景色を眺めるだけで疲れが取れて爽やかな気分になるものです。
今年の夏には草ぼうぼうになってしまった畑のあちこちに昼顔の花が咲いて、いつまでもこんな長閑な自然の雰囲気が続けばいいなと思っていたのですが・・・道端に事業予告の看板が立てられて三階建の老人ホームが建てられることになりました。今秋に着工予定で来年の秋に完成とのこと。
建設計画図を見ると陶房のすぐ西側は老人ホームの壁になってしまうので、窓を開けて四季を感じられるのは今年の夏が最後になってしまうでしょう。また、母屋の二階からは富士山や丹沢山系が朝な夕なに眺められたのですが、来年からは観ることができなくなってしまうだろうと思うと残念です。
この地で陶芸を始めた30年ほど前には自然がたっぷりだったのに(陶房雑記帳2013年8月「高倉陶房の蛇」参照)、残念なことですがこれも時代の流れと受け止めざるを得ないのでしょう。
陶芸は窯から出る煙が近所迷惑になる場合があります。特に還元焼の場合には煙突から不完全燃焼の黒い煙が出るので、迷惑にならないように注意が必要です。今のところ高倉陶房の本焼き窯は隣地とは離れた竹薮の中にありますので、老人ホームに煙がかかるという心配はないと思っていますが。煙が出にくい酸化焼きても灯油やガスの燃える匂いが気になる場合もあります。都市化に伴って予期せぬ心配事も出てくるものです。陶芸教室を開いている友人のKさんのお宅は比較的住宅密集地にあるので、窯焼では煙が出る時間が夜中になるように工夫している、と言っていました。
一方、老人ホームが隣に建つことによって予期せぬ良いことがあるかもしれません。例えば、お年寄りのリハビリ活動として陶芸を教える新しい出会いが生まれるかもしれません。陶芸が孤独なお年寄りの楽しみになればよいなと思います。(2014.8.6)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)