昨年末から新年にかけては子や孫がどっと来てどっと帰る、まさに“来てうれし帰ってうれし”の幸せなおじいちゃんでした。そして子供たちが帰った後は、女房と二人で静かに残り物を片づけながら少々の酒を呑んで過ごし、3日からは作業開始、創り初めです。
毎年、正月休みにはのんびりした時間を使って“ちょっと大きめ”の作品を創っているのですが、今年の正月は“桜の花絵鉢”を計画しました。
昨年12月のうちに成型して半乾きの状態にしておいた鉢(直径45cm)に、白化粧土をスプレーでまんべんなく吹き付け、乾いて白くなった表面に竹串(*)の先で桜の花を描きました。華やかな桜の花のイメージを表現できるようこつこつと線を刻んでゆきます。一花一花、そして花びらの一枚一枚を竹串で描きます。花を5個画いたら一休み、ちょっと庭に出て柔軟体操というようなペースで、ゆっくりと刻んでゆきます。
花を描き終わったら次は背景となる幹の部分を削りべらで削ってゆきます。線の刻み損じや削り損じは修復が難しいので、注意深く根気のいる作業です。
粘土は、赤土(赤合せ):白土(楽白)を2:1に配合してあります。
素焼きが終わったら桜の花の部分に淡いピンク色の顔料を塗ります。
本焼きは、桜の花のピンクと白、そして刻んだ輪郭線と背景の幹の部分とのコントラストがはっきりと出るように還元焼きにする予定です。つまり粘土に含まれている鉄分が還元焼きで表面に出て白化粧土を削った部分が赤黒く発色するのを狙っているわけです。特に幹の部分に変化が出てくれるとうれしいのですが。
窯焼きは2月末の予定。さて、焼き上がりは!
満開の桜の花と散る花びらに動きを感じられるような焼きあがりになればと期待しているのですが。
*竹串はスーパーなどで販売している焼き鳥用のものです。粘土の表面を刻む金属製の道具は陶芸材料店でいくつか販売されていますが、私は竹で作った道具が一番使いやすいと思っています。(2016.1.24)
今年の正月三が日は好天が続き厳しい寒さもなく、何となくよい一年になるような予感がしています。
元日早々に鵠沼海岸の友人Kさんから、江の島に昇る初日の出の写真をいただきました。煌々と輝く素晴らしい日の出です。
Kさんが海岸にいたちょうどそのころ、私は近所の七つ木神社の境内から初日の出を眺めていました。七つ木神社は藤沢市と横浜市の市境を流れる境川を見下ろす高台にあるので、横浜市の西部郊外に昇る初日が見られます。
地球の向こう側からゆっくりと昇ってくる黄金の太陽、まさに壮大な宇宙に向かってブレークスルーしてくるパワーを感じました。
実は、昨年末のアート展仲間の納会で、“新年は冒険とブレークスルーの年にする”と年甲斐もなく大それた発言をしてしまいました。
江の島の初日の出→
私の陶芸におけるブレークスルーとは?
如何にするか?
粘土を使って成形する、素焼きした作品に釉薬をかける又は下絵を描き釉薬をかける、本焼きする。このすべてのフェーズで私の場合は常識的・教科書的な行動で済ましていた、と反省しているわけです。つまりリスクを避けるためにどうしても安全な方法をとってしまうことが多いわけです。
歩留まりが悪くても見ごたえのある作品が窯から出てくればよい。リスク覚悟で冒険してブレークスルーしなければ、と常々思っていたわけです。そのためには数もこなさなければならない!
もっと思い切った造形ができるのではないか?
もっと動きのある施釉ができるのではないか?
もっと攻める焼き方があるのではないか?
初日の出のようなダイナミックなブレークスルーは難しいかもしれませんが、“ちょっと冒険しよう”と考えている2016年新春です。(2016.1.7)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)