早いものでもう12月。一年があっという間に過ぎ去り月日の移ろいの早さを感じる今日この頃です。今年一年間の高倉陶房の活動を振り返ってみたいとおもいます。
5月に沖縄を訪問、やちむん通りを散策できたことは楽しい経験でした。沖縄には何度か訪問し読谷村のやちむんの里などを見学しているのですが、那覇市内のやちむん通りは初めてだったのです。
やはり南国の焼き物(やちむん)は何となくおおらかで、自然で、落ち着けるものが多くてよいですね。通りのところどころに「手作りシーサー教えます」というような看板があり、せめて半日くらいの時間があれば自分でシーサーを創ってみたいと思ったのですが、次回沖縄を訪問した時にはぜひ挑戦したいと思っています。
6月には恒例となった藤沢三田会アート展への出展。今年の夏で12年連続の出展ということになります。当初は若手といわれていた私も今や古顔です。この会では陶芸に限らず絵画・書道・写真等々、さまざまな分野の“芸術家”たちと交流できるので、私にとっては貴重な情報交流の場となっています。
今年は陶芸を通じて社会貢献もできた年でした。
日頃、作陶を通じて何か社会貢献ができないか?と思っているだけで、何も具体的な活動ができないでいたのですが、今年は少し進展がありました。
6月度には熊本大震災を支援するNPO法人の「お茶碗プロジェクト」に参加できたこと、10月には社会福祉法人の「かわうそギャラリー・湘南ブルー青色展」への出展ができたことにより、私の作った作品が“誰か”の役に立っていると思えることは、ささやかな自己満足です。
もうひとつ私が支援している団体は、近くの禅寺「臨済宗円覚寺派・東勝寺」の和尚さんが理事長を務める「NPO法人地球市民友の会」です。このNPO法人では日本で働く外国籍の方々の子弟を対象とした日本語教室や華道・茶道教室、音楽会、クリスマス会などを開催し異文化交流を推進しています。
茶道教室では私が和尚さんに進呈した茶わんが使われています。
今後とも社会貢献活動は意識して継続したいと思っています。(2016.12)
「点と線」と書くと、多くの人が思い浮かべるのは松本清張の有名な推理小説だろうと思いますが、ここで私が言いたいのは、陶の表面に描くひとつひとつの点の大切さ、線の大切さ、のことです。
ペルシャン織部の文様を描くにあたって、古代オリエント土器などの文様を参考に、自分なりのアイデアを入れて素焼きした陶の表面に文様を描いているのですが、これがなかなか思うように表現できません。
描く文様は基本的に点と線の組み合わせなので、作業としては割合単純で自分の好きな箇所に点を描き、線を引けば良いのですが、これが難しい。
点を描く場所を決めるのも、全体のバランスを見て絵具を落とすことが必要です。そして何よりも活きた線を描くことが大切なわけです。細い線、太い線、短い線、長い線、すべて線が活きていなければならない。
私は陶芸を始めたころから陶の表面に絵を描くことが好きで、これまでに多くの草木花などを描いてきたわけですが、いまだに線を描くのは難しいと感じています。
そこで、線を描く際の参考にと思い書道の入門書を開いてみると次のような一節が目に留まりました。
“書は書線をきちんと引けることのほうが、形よりも先。線質を豊かにするということが、美しい文字を書くということ。筆をいろいろな角度に倒すことによって、色々な表情の線質を生み出すことができる。これを八面手鋒という。
また、筆勢(筆のスピード)と筆に圧力をかけることによって筆の勢いがでる。表情を付けることによって、優しい線、温かい線、激しい線、厳しい線がでてくる。”
日ごろ陶芸教室の生徒さんが草紋などの線を描くときには、手首が硬くならないように、“なるべく無責任に勢いよく思い切って書いてください”と言うことにしているのですが、とんでもない!
“無責任に”なんていうのは、文字通り無責任極まる教え方ではないか!
というわけで空いている時間に筆で線を描く練習を始めました。優しい線、温かい線、激しい線、厳しい線がでてくるまでには、ちょっと時間がかかりそうです。(2016.12)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)