自分の作品が誰かに好んでいただき、活きているのは嬉しいことです。
愛知県春日井市にお住まいの神野幸甫さん(花道未生流)に作品をお渡ししたところ、素晴らしい雰囲気で季節の花が生けられた写真が届きました。城山八幡宮(名古屋市千種区)の献華殿に奉納展示された生け花です。
神野さんに使っていただいた花器は、数年前に古代オリエントの壷を模して作った二個のうちのひとつで、ずっと物置にしまっておいたものです。古代オリエントでは多分収穫された穀物などを保存する容器だったのではないかと想像しながら製作したものです。
華道家は花器を決めてから生ける花を決める、という話しを聞いたことがありますが、神野さんが私の創った壷を見事に活かしてくださった。物置の中で日の目を見なかった作品が喜んでいます。感謝・感謝です。
華道にもいろいろな流派があるので素人の私が勝手なことを言えませんが、花器は生けた花が活きるものでなくてはいけない、と思っています。
例えば色絵磁器のように美しい装飾を施したものは、生けた花を活かすのはなかなか難しい。一般的には色絵磁器の壷は花を生けるというよりも壷そのものの美しさや華やかさを見て楽しむものだと思います。
花器を創る側からいえば、花器だけ眺めても素晴らしい、花を生けるとなお素晴らしい、という器が理想でしょうが、一方、花器だけ見ている限りどうも地味で平凡でつまらないが、花を生けると素晴らしい風景になる、ということもあります。
というようなことから、本来別の目的で作られた器、例えば、古代中国では神に酒を奉げるために作られたという青銅器や、日本では水瓶や酒瓶に使われていた信楽や常滑の古陶などが花器として活きているということになります。(2017.3.6)
ジャズを聴いて焼き鳥を食べよう!という仲間と野毛をぶらぶらする機会が多くなりました。
横浜野毛はJR桜木町駅から西側に徒歩数分の一角です。地図で見るとほぼ碁盤の目のように区画された街なのですが、すべての通りが裏通り、という感じの街です。野毛の裏通りには飲み屋、食べ物や、喫茶店、酒屋、クリーニング屋などなど、生活実感を感じるいろいろな店が混在しています。
私はきれいな表通りより裏通りが好きです。たまに東京に出かけて銀座通りを歩いても海外有名ブランドの店が増えて昔日の情緒は激減!ちょっと裏通りに入って昔ながらの和菓子屋さんなどを発見すると一安心、という状態です。
日本橋・京橋界隈でも表通りはきれいなだけの個性のない風景になってしまいました。画廊や骨董屋などが多いのは裏通りです。美と情緒は裏通りにあり、と言いたくなります。
野毛の裏通りが交差する角にジャズ喫茶「ちぐさ」があります。学生時代にジャズ好きな友人に何度か連れていかれた昔懐かしい老舗喫茶店です。
私にとってほぼ半世紀ぶりに「ちぐさ」でジャズを聴きました。大きなサウンドスピーカー、壁面の棚にずらりとおさめられたレコード盤ジャケット。本場アメリカのジャズミュージシャンたちの写真。そして若いころにこの店によく来ていたという渡辺貞夫、秋吉敏子・日野皓正などの写真も。昔と全く変わらない雰囲気です。50年前と場所も変わり経営も紆余曲折があって変わったようですが、今もジャズ好きの人たちに守られて健在です。
野毛の商店街→
ジャズの後は焼き鳥。正確には数えてないですが野毛界隈の食べ物屋では焼鳥屋が圧倒的に多いのではないかと感じます。適当な店に入ってビールと日本酒を少々、ワイワイガヤガヤ。
そして焼き鳥の後は・・・ちょっとハモニカ横丁(*)で川の流れを眺めながら一杯ひっかけて帰る、というくらいにしたいのですが、なじみの店もないし、それほど飲めないし・・・。
しかし、通によれば野毛では“三軒はしご”するのが当たり前、とか。
(*)1964年の東京オリンピックのときにこの界隈の川沿いに並んでいた屋台や商店がまとまり、細長い二階建ての集合住宅で営業を始めた。正式の名前は都橋商店街というが、川の対岸から眺めるとハモニカのように見えるので通称「ハモニカ横丁」といわれている。(2017.3.6)
神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)