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MEMORANDUM-陶房雑記帳2017年7月

■北九州豪雨お見舞い

九州北部の豪雨水害で、福岡、大分両県の死者は8日さらに増え、18人になった。被災地から川でつながる有明海では5人の遺体が見つかり、警察は災害にまきこまれた可能性があるとみて調べる。この5人を含めると死者は23人になる。九州北部は9日も所によって大雨のおそれがあり、気象庁は警戒を呼び掛けている。(以上「朝日新聞」、7月9日朝刊より。)
 6月度の当欄で小鹿田焼の飛び鉋のことを書きましたが、まさに小鹿田焼の陶郷は被災地である大分県日田市から入った山間にあります。また福岡県側で被害の大きかったと報道されている東峰村には有名な小石原焼があり高取焼も近くにあります。
 九州には各地に歴史的に有名な陶磁器の生産地がありますが、今回の被災地である北九州の福岡県から大分県にまたがる地区は日本の民芸としての代表的な陶芸の産地なのです。
 豪雨による被害が出始めた7月5日ころから9日の日曜日まで雨は断続的に降り続けており、いまだに行方不明になっている方々が多く被害の拡大が心配されます。テレビで展示会用に準備していた作品が全部流されてしまった、と呆然としている陶芸家が写されていたのが印象的でした。また、小鹿田では粘土の原料となる土を砕く唐臼が濁流に流されてしまった、というニュースもありました。
 何はともあれ被災されたすべての方々が早く復興し、今までの幸せな生活を取り戻し、陶芸家の方々も元気に活動を再開されますことを祈るばかりです。
 初めて小鹿田焼の里を訪ねた時に日田温泉に泊まり、窓から日田の水郷を眺めた記憶がありますが、あののどかな風景がいま恐ろしい災害に見舞われている、大自然の厳しさを感じるばかりです。少しでも早く優しい自然の風景が戻ってほしいと願うばかりです。(2017.7.24)



■藍染めと青い陶

藤沢市獺郷の社会福祉法人光友会にある「かわうそギャラリー」に出展したことは昨年10月度の当欄に記しましたが、今年も担当の方から出展依頼があり現在出展中です。今回のテーマは、「湘南藍色展」というもので、出展期間は6月26日から7月21日までです。
 湘南の海のブルー、藍染めのブルー。
 藤沢市内で栽培され摘まれた藍の葉をもとに染められた藍染めのブルーに、私の陶のブルーがマッチすると思っていただけたようです。

 私の陶器はあくまでも藍染めの脇役ですが、ギャラリー近隣の方々や、社会福祉法人光友会の施設に入所しておられる方々に少しでも見ていただき、感じていただければありがたいと思っています。
 「かわうそギャラリー」のある藤沢市獺郷は、文字通り獺(かわうそ)の郷だったのです。そして今ものどかな緑が広がる藤沢市の北部、慶応大学湘南キャンパスの西側にあたる場所にあります。どうぞ「湘南藍色展」を覗きながら立ち寄ってください。
 これまでに草木染や藍染めに興味はあったのですが、その制作方法などについては全く無関心でした。この機会に藍染めの解説書で勉強したことを備忘のつもりで以下に記載しておきます。
 藍はタデ科の植物で原産国はインドとされている。藍の生葉にはインジカンという無色の成分があり、これが空気中の酸素と結びつくことにより「インジゴ」という成分に変化して青い色を発色する、というのが藍染めの原理のようです。
 藍染めには乾燥した葉を使って行う「建て染め」と、摘んだ葉が新鮮なうちに行う「生葉染め」という方法があるとのことです。生葉染めは建て染めでは得られないような鮮やかなブルーが得られることや、藍の葉さえあれば、すぐに染めができるという利点から、広く行われるようになってきているとのことです。(2017.7.14)



神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)