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MEMORANDUM-陶房雑記帳2017年11月

■ボロブドール憧憬~遥かなる仏塔

今、旅の準備をしています。
 行き先はインドネシア・ジャワ島のスマランという町です。ガイドブックによればインドネシアは1万を超える島々からなる国とのことで、地図を開いてみると確かに島が多い。目的地のスマランは首都ジャカルタと同じジャワ島にあります。羽田からジャカルタまで約7時間飛んで、ジャカルタで国内便に乗り換えて約1時間半で到着する町です。
 旅の主目的は、スマランに住んでいる息子夫婦と孫二人に会いに行くことですが、もう一つの大きな目的は、ボロブドール遺跡を訪ねること。
 ボロブドールは世界最大と言われている仏教遺跡です。
 昨年から今年にかけていくつかの壷を作ってボロブドールの遠景や仏塔(ストゥーパ)を描いているのですが、これまでは写真集を見て描いたいわばイメージ画像でした。又、いま私がここに書いている文章も、すべてインターネットの情報サイトや旅行ガイドブックからの受け売りに過ぎないのです。
 ボロブドールを直接自分の目で見れば、何か作陶のヒント・アイデアを得られるだろう!その結果、陶に描く絵や彫りにも何らかの重み、印象深い何かが加わってくれるだろうというのが、今抱えている期待なのです。(陶房雑記帳2017年5月「ボロブドールの月」参照)
 ボロブドール遺跡には、仏教の世界・仏陀の生涯を表現しているというレリーフ回廊があり、ガイドブックの見出しには「一万人が登場する総延長5kmに及ぶレリーフの森」と記されています。回廊の幅は約2m、その左右の壁面には「仏伝図」など仏教にかかわる物語などの装飾が1460面にわたって彫られているということです。
 ゆっくりと回廊を回って何か作陶のヒントを得たい。更にはボルブドールの遠景・仏塔(ストゥーパ)・等々、を自分の目で見て感じで表現したいと思っています。(2017.11.26)


■秋はどこに?

降り続く秋雨の中、窯焼きをしました。
 晴れていれば、竹藪に射しこむ秋の陽を受けて窯の煙がゆらゆらと流れる、なんていう光景があるのですが、今年は雨に濡れた竹林にどんよりとした煙が流れるだけ。長雨うらめしや、というところです。
 今年の夏から秋にかけての長雨は高倉陶房の庭でも例年にない変化をもたらしています。
 毎年きっちりと秋分の日(9月23日)前後に開花していた彼岸花が、今年ばかりは間違えて10日ほど早く咲いていました。
 庭の野菊もシュウメイギクも申し訳程度に数輪の花をつけています。
 秋咲きの椿(西王母)は元気のない花を開いたかと思ったらもう咲き終わって花を落としてしまっています。
 庭先にある紅葉(もみじ)も例年葉の色が変化するのは12月に入ってからなのですが、今年は夏先からの相次ぐ台風の風雨による被害もあり、黄葉することなくそのまま落葉してしまうのではと心配しています。
 花が終わった百日紅(さるすべり)やハナミズキの葉も、そろそろ赤や黄に色を変えて楽しませてくれるのですが、今年はどうやら茶色の枯葉になって落ちてしまいそう。
 庭の木の実を食べにくるメジロやヒヨドリ、シジュウカラなども今年は心なしか少ないような気がします。去年まで姿を見せていた栗鼠も今年は姿を見ていません。カラスは相変わらず木の上でカーカーと騒がしくしていますが・・・
 庭木の手入れも今年は満足にできていない状態です。庭土も水を含んでいるため地中で伸びてしまっている竹の根を切る作業もはかどりません。
 本当の秋はどこに行ってしまったのだろうか?
 真っ青な秋の空といわし雲を眺めてみたい。
 青い空と済んだ空気と陽の光がないと芸術の秋は何となく盛り上がりません。やはり秋には秋の風情を感じないと創作意欲もアイデアも浮かびにくいものだと思っています。(2017.11.11)



神奈川県藤沢市高倉815-2
(小田急線長後駅東口徒歩7分)